限りある子どもとの時間を大切にしたい!
場所に縛られないフリーランスという働き方に興味あり!
自分が実践することで、子どもたちの選択肢を拡げたい。
「フリーランス」に興味を持つ、子育て世代の会社員の方も多いのではないでしょうか。
「会社員=安定、安泰」という構図は、現在、以下の点から崩れつつあります。
- 大企業による年功序列制度の廃止
- 大企業トップによる雇用制度の限界発言
- 退職金の減少(ピーク時より1083万減少、1997年2871万円→2017年1788万円)
(厚生労働省「就労条件総合調査) - 増税や物価高に伴う実質賃金の低下
以上に加えて、コロナ禍の影響もあり、「フリーランスブーム」が到来しています。
「働く場所が自由」「経費など節税の幅が広い」などのメリットも多く存在します。
一方で、フリーランスは「収入が不安定」「立場や保障が弱い」等のデメリットもあります。
特に、子育て世代にとっては、まだまだ敬遠される働き方のようにも思えます。
この記事を読めば、フリーランスのなり方から節税・節約方法までの理解が深まります。
フリーランスが「自分には手の届かない憧れの働き方」ではなく、選択肢の1つになるはず。
現在、会社員の方にも役立つ節税や節約方法もあるので、フリーランスに興味がない方もぜひ読んでみてください。
今回の記事は、3つの書籍※と「両学長 リベラルアーツ大学」のYouTubeを参考に、実際に今年会社員からフリーランスになった私の兄の体験談も混じえながら、作成しています。
※3つの書籍
・会社勤めのモヤモヤを吹き飛ばす副業の思考法 収入・転職・起業のリスクに打ち勝つ次世代【働き方】(著者:國富竜也)
・本当の自由を手に入れる お金の大学(著者:両@リベ大学長)
・マンガでわかる フリーランスのお金のこと ぜんぶ教えてください(著者:田口智隆)
会社員時代の準備編
フリーランスとは?
フリーランスは、傭兵を意味する「Freelance」が語源と言われています。
フリーランスの定義は、以下の2つ。
日本では長らく、「個人事業主」と表現されてきました。
コロナ禍でのフリーランスブームもあり、フリーランスという言葉が定着しつつあります。
数としては、完全に腕一本で独立しているフリーランス※は、約800万人。
労働人口の約12%、8〜9人に1人がフリーランスといった現状です。(新・フリーランス実態調査2021ー2022年版ランサーズ)
※自由業系フリーワーカー+自営業系独立オーナー
会社員とフリーランスの違いは?
会社員 | フリーランス | |
---|---|---|
収入 | 安定 給与所得 | 不安定 事業所得 |
退職金 | あることが多い | なし |
税金 | 会社が納税 | 自分で確定申告 |
社会保険料 | 会社と折半 | 全額負担 |
クレジットカード | 作りやすい | 作りにくい |
賃貸住宅の審査 | 通りやすい | 通りにくい |
住宅ローン | 組みやすい | 組みにくい |
会社員のうちに準備しておくこと
フリーランスになると、収入が不安定になり、3ヶ月無収入、なんてこともあり得ます。
いきなり会社員を辞め、フリーランスになるのは、子育て世代にとって、リスクが高いです。
会社員の(信用がある)うちに、準備しておきたいものは、以下のとおり。
開業手続き
- 失業手当の申請(住所地のハローワーク)
- 開業届を税務署に②とセットで提出(来所 or 郵送 or e-Tax)
開業届「こういう事業を始めます!」と国に伝える書類
開業届には「屋号(会社名のようなもの)」登録できる ※後から変更可能 - 青色申告承認申請書を税務署に提出
簿記方式:複式簿記にチェック
備付帳簿名:現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳、預金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳にチェック - 国民健康保険と国民年金と加入手続き(居住地の市役所)
会社員は健康保険も厚生年金も会社と折半で扶養制度あり(保険料0円)、手続きは会社
フリーランスの国民健康保険と国民年金は全額自己負担で扶養制度なし(配偶者や子の保険料が発生)、手続きは自分
国民健康保険の保険料:市町村や前年度の所得による。年収400万で全国平均月額23,518円
国民年金の保険料:一律月額16,590円(2022年度)
フリーランスとしての稼働編
フリーランスになると、毎月の帳簿の作成や確定申告なども、自分で行う必要があります。
会社で経理部がやっていた作業を担うのは、なかなか大変そう…
でも、大丈夫です!
今では、デジタル化も進み、会計ソフト(弥生、マネーフォワードなど)もあるため、以下の作業をやっておけば、問題はありません。
毎日『お金の管理帳』をつけよう!
確定申告(翌年2/16〜3/15)をスムーズに行うために、「お金の管理帳」をつけましょう。
イメージは、下の表のとおりです。
2023.10月 | ||
生活費 | 経費 | 収入、売掛金 |
10/29 | ||
缶コーヒー 120円 | ボールペン 140円 | A社 3万円 |
本 1100円 | カフェ代 1300円 | B社 売掛金8000円 |
10/30 | ||
スーパー 800円 |
「経費」
事業で売上を上げるのに貢献した支出のこと。
仕事のために、カフェを利用したなら経費となる。
家賃や光熱費といった仕事でもプライベートでも使っている費用も、仕事で使っている分だけは経費にできる。
(会計ソフトに家事按分の比率を入力すればOK)
「売掛金」
商品やサービスを提供後、まだ受け取っていない代金のこと。
管理帳に記録しておくことで、後々の未払いチェックにも活用できる。
そもそも、確定申告とは?
1年間の所得税の金額を申告するのが、確定申告です。
確定申告と聞くと、ややこしいイメージがあるかもしれません。
しかし、以下の内容を理解しておけば、実は複雑なことではありません。
確定申告をする上で知っておくべきは、「課税所得=売上ー経費ー控除」ということ。
この課税所得に対して、所得税がかかります。
つまり、税金を安くするには、経費と控除の額を上げる必要があります。
ただ、生活費を無理やり経費にするのはNGで、税務署に怪しいと思われる危険性があります。
フリーランスに税務調査入る確率は、1〜2%くらい。
税務調査に備えて、領収書やレシート、確定申告の書類は7年間保存しましょう。
そこで、活用したいのが「青色申告」です。
e-Taxで青色申告をすれば、最大で65万円を受けられます。
確定申告は会計ソフトか税理士におまかせ
会計ソフトに、「お金の管理帳」に記載した毎月の売上や経費などを、打ち込めば、毎月の帳簿は作成できます。
帳簿が完成後、会計ソフトのガイダンスに従って、各種控除や支払調書※に記載された所得税を登録することで、確定申告に必要な書類を完成できます。
あとは、e-Taxを利用して、オンラインで完成書類を税務署に送れば、完了です。
※毎年1月から2月に企業から送付される書類、前納した所得税などの記載がある。
一方で、会計ソフトを利用しても、ある程度の手間はかかるため、税理士にお願いのもアリ。
税理士に帳簿作成から確定申告書類の作成をお願いする場合、費用の相場は10〜20万円くらいと言われます。
住民税と事業税に要注意!
「住民税」は、前年の所得に対して、原則一律10%を、翌年の6月と8月、10月、翌々年の1月の4回に分けて支払います。
所得税が「先払い」であった一方で、住民税は翌年に「後払い」で納税します。
脱サラ1年目に所得がなくても、住民税がかかり、負担感が大きくなるのは、このためです。
住む市町村によって、わずかな住民税の差はありますが、引っ越すまでのメリットはなし。
「事業税」は、所得が290万円を超えると課税され、8月と11月に支払うものです。
事業税のかからない職種(ライターや漫画家など)もあります。
フリーランスの消費税とインボイス制度の問題点
売上が1,000万円以下の人は、消費税が免除され「免税事業者」となります。
しかし、2023年10月に導入されたインボイス制度によって、免除事業者であったフリーランスにとって、死活問題となりかねない事態となっています。
インボイス制度
消費税を、事業者同士または事業者と個人が、書類上で正しくやり取りをして、国に消費税が正しく納付されることを目的に作られています。
事業者は、インボイス(適格請求書)に記載された消費税でないと、税額控除が受けられなくなり、支払う消費税が増えてしまいます。
そして、適格請求書が発行できるのは「課税事業者」に限定。
この制度によって、企業側が消費税の負担が増えないように、「課税事業者」を優先し、仕事を発注することが心配されています。
つまり、免税事業者は、課税事業者(消費税を納税する必要アリ)にならないと、仕事を失う可能性があるということです。
フリーランス受難の時代とも言えるかもしれません。
フリーランスの心得
お金の話は、「下品」という刷り込みは捨てましょう!
フリーランスは、お金の交渉も含めて自分の仕事です。
それができないと、企業や個人に「都合よく使われる」ようになってしまいます。
金額交渉によって、仕事がなくなるなら、先方はあなたを大切にしていないということ。
少なくとも、ギャラが低い理由を説明してくれないような不誠実な人と付き合う必要はありません。
金額交渉は、相手との信頼関係ができたタイミングで行うのが、ポイントです。
自分の中で基準価格を明確に設定しておき、それに見合わない場合は、反射的に金額の交渉をするようにしましょう
『マンガでわかる フリーランスのお金のこと ぜんぶ教えてください』著者)田口智隆
節税でお金を増やす編
フリーランスの退職金なし問題は「小規模企業共済」で解決!
「小規模企業共済」はフリーランスや小規模企業の経営者などが、現役中に退職金を積み立てる制度。
一言で言えば、「節税できる貯金」です。
会社員には使えない、フリーランスや小規模企業経営者の特権とも言える制度です。
事業をやめた時や65歳以上なった時などに、共済金(退職金)を受け取ることができます。
メリットは以下の3つがあります。
- 掛け金は全額控除(所得税と住民税が減額)
例)課税所得400万円の人が毎月3万円積み立てたら、所得税と住民税で約11万円の節税 - 金利が高い(1〜1.5%、銀行だと0.001%)
- 毎月の掛け金を自由に設定できる(1,000円〜7万円)
注意点は、最低でも6ヶ月は掛け金を積み立てないと、1円も共済金を受け取れないこと。
6ヶ月を過ぎれば、払った掛け金の全額が戻ります。
3年以上過ぎると、掛け金以上の共済金を受け取ることができます。
老後資金はiDeCoで準備する
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」とは、国民年金とは別に、毎月自分で決めた金額を積み立てられる年金のこと。
小規模企業共済と同様に、掛け金は全額控除となります。
大きな違いは、投資信託などの金融商品を自分で選ぶ必要があること、資産運用で出た利益も非課税になるということです。
会社員も利用できる制度ですが、会社員の場合、掛け金の上限額(1万2,000円〜2万3,000円)が低くなります。
一方で、フリーランスは十分な金額(上限額6万8,000円まで)をかけることができます。
注意点としては、60歳以上まで引き出すことができない点。
加えて、投資信託などは「投資」であるため、長期保有すれば高い確率でお金は増やせますが、必ずしも増えるわけではないという点も、頭に入れておく必要があります。
そのほかの節税方法3つ
その他に、控除を増やす方法として、以下3つがあります。
「ふるさと納税」
本来払う税金の一部を、自分が応援したい自治体に寄付できる制度。
実質2,000円の負担で、特産物がゲットできる。
ふるさと納税サイトで、自分はいくらまでふるさと納税ができるか、計算ができる。
「医療費控除」
医療費が10万円を超えると、超えた分が控除の対象となる。
年間15万円であれば、5万円が控除。
インプラント代、レーシック手術、不妊治療代、病院に移動するための電車やバスの交通費なども対象となる。
「セルフメディケーション税制」
薬局で対象の薬を買ったり、健康診断を受けたりした総額が、1万2,000円を超えた分が控除の対象となる。
固定費の見直しで節約編
手元に現金を残すために、節税と同様に重要になるのが、節約です。
節約の中でも、効果が高く、一度見直せば効果が持続する「固定費の見直し」がおすすめ。
新しいことを始める時は、確かに最初が億劫。
しかし、以下の固定費の見直しは、私も実践し、効果を感じているので、やってみて損はないです。
格安スマホの契約で、毎月約5,000円の節約
格安スマホと聞くと、品質の面で不安が大きいかもしれません。
しかし、格安SIM会社もキャリアの回線を使用しており、品質が極端に悪いということはありません。
回線が混雑する時間帯は、通信速度が遅くなる時もありますが、LINEやSNSを使う分には問題を感じません。
電力会社の見直しで、年間1万〜3万円の節約
格安スマホと同様、大手電力会社でなくとも、日々の生活に支障は全くありません。
具体的な乗り換え方法は
①毎月の電気使用量と金額を確認
(検針票か電力会社のWebサイト)
②料金シュミレーション
③新しい会社に申込み
契約中の会社に解約届不要、ネット申込可能、申込みから約3週間で乗り換え完了
マイカーが本当に必要か見直し
車を50年間所有した場合、維持費を含め、約4,000万円のお金がかかります。
つまり、月々約6万6,000円ということ。
公共交通機関やレンタカーをその都度利用し、車を持たない努力をしましょう!
月に1度も利用しないサブスクは解約
支払いはキャッシュレスで、家計管理も快適
まとめ
この記事では、フリーランスまでの道のりとして、「会社員のうちに準備しておくこと」から「フリーランスの心得」「節税・節約方法」について、まとめました。
フリーランスには、収入の不安定性という大きな不安はついて回ります。
しかしながら、会社員という立場で副業として試したり、税金に関する知識を身につけることで、ある程度の対策も可能です。
働き方の自由度が高いという点で、子育て世代にとっても魅力ある働き方と言えるのではないでしょうか。
実際、フリーランスとなった私の兄は「子どもと毎日公園で遊べる!」「頑張った分だけ稼げる!」と、とても充実した日々を送っているように、私には見えます。
この記事が、子育て世代の方が働き方を考えるきっかけになれば、幸いです。
また、記事の中では、フリーランスという自由な働き方を手に入れるために、まずは副業に取りかかることをおすすめしました。
会社員をやりながら、家事に育児、さらには副業となると、いかに時間を作るかが重要になります。
そんな悩みに役立つ「子育てを楽にする方法」についても、記事を用意してます。
人や行政サービス、家電に頼る方法を紹介していますので、参考にご覧ください。
関連記事 子育てが楽になる時期はいつ?子育てを楽にする方法3選
最後まで、読んでいただきありがとうございました。